金蘭千里中学校・高等学校

中高一貫・男女共学

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ひとびと

卒業生

卒業生インタビュー

10期生・東北大学卒の弁護士

岩田拓朗さん

学園監事をしてくださるなど、現在でも金蘭千里学園に深い関わりがある岩田拓朗さん。2人のご子息と奥様とともに日々を歩みながら、法律事務所に勤務し弁護士として活躍する岩田さんに、学校生活の思い出やこれからの金蘭千里に期待することなど、じっくりとお話いただきました。
(2016年実施)

"勉強嫌い"だからこそ
短時間で知識を得る工夫に
つながった

「実は全然勉強をしない子供だったんです(笑)。塾には通っていましたが、それだけ。中学受験で金蘭千里を選んだのも親でした」
 志望校に金蘭千里を選んだ理由について質問すると岩田さんは朗らかに、笑いながらそう答えてくれました。岩田さんの中学生活は勉強とサッカーの毎日。朝の20分テストは短時間に集中して学びとる工夫を教えてくれるものだったといいます。
「自発的にすごく勉強をする子供じゃなかったのでこれがなければ基礎となる学力が身につかなかったかもしれません。僕はとにかく短時間集中型。朝の通学時間や登校後の20分テスト前に全力で集中して勉強するスタイルでした」
 "効率的に身につける力"は勉強以外でも役立つものでした。キャンプでは時間内に仲間たちと料理を作り上げ先生にも食べてもらうため、下ごしらえから完成までがとにかく時間との勝負。どの手順で素早くおいしく作るか? ここにも効率や集中が要求されます。中学・高校を金蘭千里学園で過ごし、やがて岩田さんは東北大学法学部へ。しかし、意外にも最初は理科系の大学への進学を考えていたそう。
「父に『理科系の大学に進学して、将来どういった仕事が選択肢にあるのか』と聞かれ答えられなかったんです。科学や生物の世界はとても厳しく、研究者として脚光を浴びるのはほんの一握り。もしかしたら自分には向いていないのかもしれないと考え、父が弁護士だったこともあり法学部にしました。いいモデルがいるのでイメージもクリアでしたからね」

勉強の仕方を学んだ
金蘭千里
議論や表現力を身につけた
東北大学

 無事に東北大学に合格し、大学生活を送る中でとても大きな出会いが。それが広中俊雄教授です。民法を教えている広中教授のゼミは「絶対に妥協を許さない方。毎回緊張しっぱなしでした」と岩田さんは振り返ります。午後3時にスタートして夜の10時になっても、全員が納得できる話し合いにならなければ終わらない。厳しく、徹底した議論が求められる上、判例の研究発表も未熟なものを持ち込めばその日のゼミは解散。このゼミが岩田さんの法的な思考力を鍛え上げていくことに。ものの捉え方を芯から学んだ経験は、現在の仕事に大きな影響を与えています。
「弁護士が何か提言をする時"最後は責任をとる"という姿勢がなければいけないと何度も言われて。それは今も本当に大切なことだと実感していますね」
 東京で弁護士として働きはじめて20年以上。今では法律事務所に勤務し、民事裁判を主に依頼主が抱える悩みや問題を解決してきました。取り扱うのは企業法務、不動産取引、建築紛争などさまざま。同時に、法律は一度覚えれば終わりではなく時代とともに変わり、それに呼応し求められる知識も変化するため弁護士は「生涯学び続ける職業」だとか。
「多岐にわたる知識はもちろん、それを表現する力も大切。弁護士を志望する子はまずは知識を。さらにこの仕事は短い時間で事務処理をすることも求められるので計画性も。膨大な事件の資料も読み込まなくてはなりません。短い時間にどれだけできたかは、何ヶ月、何年も経過した後に歴然とした差となって表れるんです。そういう意味では、司法試験制度改革以降の最近なりたての弁護士さんたちは、法科大学院で勉強に時間をかけたはずなのに『法律を学ぶ』ということがきちんとできていません。これは、顧客に対する『法的サービスの質の保証』という意味で問題なんじゃないかと思っています」

子育ては大変だけれど、
大きな学びも

 弁護士会の活動中、若手弁護士との勉強会がきっかけで同じ弁護士である奥様と出会います。ご結婚後、2人の男の子に恵まれ現在に至ります。個人事務所を運営する奥様とは、家事を当番制で割り振っているそう。
「保育園へのお迎えは月水が私で、火木金は妻です。朝の担当は全て私。すごく大変ですね(笑)。事務所を5時半に出て保育園に迎えにいって、帰りにスーパーに寄り食材を買って帰宅。夕食を作って食べさせてます。寝かしつけで一緒に寝落ちてしまった時は朝3時に起きて仕事をすることもありますね」
 岩田さんのご子息は小学2年生と3歳。家庭での教育方針についても教えていただきました。
「息子たちには『言葉は道具なんだよ』と。妻も一生懸命にやってくれていますね。わくわくする物語をもっと知りたければ文字を早く理解できるように、言葉や文字を使ってきちんと伝えられるようにしよう、と話しています。勉強はそれ自体が目的になりがちですが、書いてある内容が自分にとってどうなのかを見つけてもらえるようにしています」
 また、学生時代から続けているスキーではインストラクターの資格も持っている岩田さん。小学2年生の息子さんにスキーを教える時は、わかりやすいよういかに言葉を砕くか、集中力をどう保つかの工夫を凝らしているといいます。「大人に教える技術と子供に教える技術は全然違う。難しいですね」と教えることの難しさを実感したそう。読書だけでなくスキー、釣りなどアウトドアを通して一緒に体を動かすこともコミュニケーションの一環になっているようです。
 最近では政治への関心の高まりも。安保法案成立や憲法改正への動きなど政治動向に目が離せないそう。「『権力を抑制するために憲法は存在する』という立場を基本とする立憲主義が守られるのか、そしてこの子たちが将来安心して過ごせる日本でいられるか」が以前にも増して気になっているという岩田さんは、子をもつ親、憲法学徒、そして法律家として注視したいと話しました。

子どもたちの将来のための
環境作りとは

 金蘭千里に新たな風を吹き込む"50周年改革"。今も昔も一貫した精神を守り続けてきたことが金蘭千里の良さであるという人がいる一方、岩田さんは「どんどんフレキシブルにやっていいと思う」。新風を取り込み新たな面を開拓していくことは前向きなことだと考えているといいます。
 同時に、これまで弁護士として教師や学校運営者の代理人を務めたこともある経験から、この先は教師と保護者の間で摩擦が起きた時は専門家を入れる方がいいかもしれないと指摘。教師と保護者の双方にとってよりよい環境を作ることも、子供たちの教育環境に大切だと分析。子供の将来への考え方についてはこう語ってくれました。
「最終的には、どんなことをしてきたいか子供たち自身が考えていくことになります。その時大人がそれだけの選択肢があるか、どんな道筋があるか、大人になって振り返った時に心から納得できるよう示してあげられるといいですよね。そんな雰囲気がこれからの金蘭千里にあればいいなと思います」