卒業生の一人として、私が今思うのは「金蘭千里で育ってよかったな」。この学校では毎年の行事として野外活動やキャンプに出かけます。中学１年の時は何もできなかったのに、年々できることが増えていく。「できないことが、できるようになる」のが金蘭千里の魅力だと思っています。卒業後も当時の同級生とキャンプやバーベキューに出かけることがありましたが、十代で培った経験が生かされ、皆とても手際が良いのには「金蘭千里卒業生だな」と実感しますね。勉強においても同じようなことが言えます。入学した時は、そこそこ良い成績くらいだったのが、卒業する頃には難関大学に合格できるほどの学力がついているんです。それは、この学校の伝統ともいえる毎日の20分テストをはじめ、自然と力がついていくような学習環境があるから。今、教師の立場になって思うことは、私が経験した「できるようになる喜び」を、一人でも多くの生徒に味わってほしいということですね。

　50周年改革を機に少しやわらかくなった校則ですが、私が在学中にはまだ理不尽とも思える厳しい校則や、勉強に追われて時間がない等のしんどい環境がありました。でも、実は世の中に出ると理不尽なことはたくさんあるんです。そういうことに直面した時、いかに対応していくかという力を養っていたような気もします。時間がない中で、やらなければいけないタスクをどのようにこなしていくか工夫する力もついていきます。「厳しいことを教えてもらった」と、感謝しています。

　私は今、化学の教師として教壇に立って２年です。学生時代は理系の中でも物理や数学は感覚的に理解することができて得意だったのですが、化学は苦手でした。しかし、根気よく勉強していく中で「わかるおもしろさ」に気づいていくんですね。そうなると、身の回りにある化学を含めて、とても興味深い分野に変わっていきます。「教えるなら化学」だと思ったのは、自分自身で実感した「わかるおもしろさ」を生徒達にも体験してほしいからでした。金蘭千里は素直な生徒達が多いので、成績が振るわない生徒も少し声をかけてあげるとやる気になってくれたり、その子達を見ていた中間層の生徒もつられて発奮することもあったり。成績上位の子には個別で添削する、成績が良くない子には補講する等、生徒のレベルに合わせた学習指導を行うことでそれぞれに結果が出始めているところです。生徒達が素直に反応してくれるおかげで、私も教師として楽しく指導させてもらっていると感じますね。

　卒業生でもある私が、生徒に言いたいこととは「教師をいかに使うか」。金蘭千里は少人数制、個別対応、20分テスト等、教師に質問する環境は整っています。受け身でいるのではなく、自分から教師に質問しに行くことで、信頼関係も生まれ、進路指導にも生きてくると思います。この学校の良いところをあますところなく利用してほしいですね。金蘭千里には、それに応えるだけの環境は十分すぎるほど備わっています。